Echo Park Pottery(エコパークポタリー)とは、Peter Shire(ピーター・シャイヤー)を中心としたアーティスト集団です。彼はイタリアのデザインチーム「Memphis(メンフィス)」での唯一のアメリカ人でした。現在はロサンゼルスのエコパークの大きなスタジオで、様々な作品を製作しています。そのピーター・シャイヤーが主宰するエコパークポタリーのマグは、ポストモダンを彷彿とさせる独特なかたちや釉薬が掛けられています。キャンバスで付けられたテクスチャー、2色での分け掛けやスプラッターと呼ばれる跳ね掛けによる色付けも魅力です。

POINT 1. SIGN

ピーター・シャイヤーのマグの楽しみ方のひとつに、器好きなら必ず目にする裏面に施されたスタンプがあります。EXPとはEcho Parkの頭文字(E , P)の間にXを入れたサインで、その下に年代のスタンプが必ず施されています。Echo Parkはかつてギャングが徘徊していた治安の悪い地区だったそうで、EXPとはEcho Parkのギャングという意味があったそう。しかし現在では、小洒落た店も多く集まってきたりと、とても心地の良いエリアとなっています。

POINT 2. DESIGNER

“Mystical absurdism, amazing, astounding phenomena on a human scale and what is funny about the way we love and hate industrial things…is what interests me.”  -Peter Shire

ピーター・シャイヤーは1947年にアメリカ・ロサンゼルスのエコパーク地方に生まれ、現在に至るまで色々な場面で活躍しているデザイナーです。1970年代以降、彼は建築、家具、ファッションに進出してきましたが、最終的に陶芸に戻り続けているようです。彼の作風は、バウハウスの美学、Peter Voulkos(ピーター・ヴォーコス)やKen Price(ケンプライス)のような南カリフォルニアの陶芸家の革新的な作品、ロサンゼルスでの彼自身の育成の影響から成り立っています。カラフルな色遣いと直線的なフォルムを作りだす彼は、何年経っても時代を流れゆくことのない新進気鋭のデザイナーとしてあり続けることでしょう。

POINT 3. Memphis

Memphis(メンフィス)とは、1980年から1988年まで活動していた多国籍からなるデザイナー集団で、Ettore Sottsass(エットレ・ソットサス)が若いデザイナーや建築家のグループを招いてデザインの未来について話し合った日(1980年12月11日の夕方)に生まれました。その最初のミーティングの間、ボブディランのレコード「Stuck Inside Of Mobile With The Memphis Blues Again」が流れていたことからインスピレーションを得て、メンフィスと名付けられたようです。メンフィスグループの作品は、カラフルで抽象的な装飾と非対称の形状を備えたデザインが特徴で、1980年代前半、イタリアを中心に世界のデザイン・建築に影響を及ぼしました。メンバーの中には日本人もおり、倉俣史朗(くらまた しろう)や梅田正徳(うめだ まさのり)らがあげられます。

▼Bob Dylan 「Stuck Inside Of Mobile With The Memphis Blues Again」